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音階と調

:メジャーとマイナー

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長調と短調

音階とは何でしょう。基本的には、1オクターブ内に順に並べられた音の連なりのことです。ドレミファソラシドもハ長調:Cメジャースケールという一つの音階になります。

5つの構成音からなるペンタトニック・スケールなども音階(スケール)の一種です。少ない音数でも曲の性格を表すことが可能だということがよく分かります。また地域・民族・時代により音階は多種多様ですので、ひとまずこのページでは各スケールの説明は後回しにして、楽典的に基本となる部分から説明していきます。

ハ長調音階と全く同じ構成音を持つものに、イ短調音階があります。ハ長調とイ短調は構成音が同じことから平行調とも呼ばれていますが、この二つの調の音の並びを見ていくことが、音階と調の基礎理解にとても役立つのです。下の図で実際の音階を確認してみましょう。

長音階の並び ハ長調
長音階の並び(ハ長調) 

短音階の並び イ短調
短音階の並び(イ短調) 

それは音程のページで説明しましたように、半音部分(ミファ・シド)が登場する順番が違うのです。ハ長調(ドレミファソラシド)は全全全全全という並びですが、イ短調(ラシドレミファソラ)は全全全全全という並びになります。これだけで随分と違った感じに聴こえてくるのですね。上記の長調、短調の並びは覚えておきましょう。例えばレから始まるニ長調の音の並びはレミファ#ソラシド#レとなり、ニ短調ならレミファソラシbドレになります。

ニ長調とニ短調
ニ長調とニ短調の調号 

ちなみに調号に♯がつく順番はファドソレラミシで、♭がつく順番はその逆のシミラレソドファになります。譜面の記号は音の高さの箇所に付いていますので小中学生でも分かるようになっていますが、こういった基本的なことは記憶しておきましょう。

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3種類の短音階

短音階の並びを全全全全全と説明しましたが、この基本的な短音階を自然的短音階ナチュラルマイナースケール)と呼びます。(教会旋法:チャーチモードではエオリアンスケールと呼ばれています)

自然短音階
自然短音階(ナチュラルマイナースケール) 

ここで自然短音階のみで作られたオリジナル曲を聴いてみて下さい。

自然短音階で注目すべきは、最後の全音の部分です。この部分は今後音楽を学んでいくにあたって肝(きも)になるのですが、音階の最後の音程が全音ですと終止感が弱いのですね。上のサンプル曲も延々と続いていく気がするでしょう。しかし音階の最後の音程が短二度ですと、長音階と同じような安定した終止感が得られるのです。この主音の短二度下の音は導音と呼ばれ音階上で重要な役割を果たします。

これをコード進行で考えますと、例えば減三和音を含むG7(ドミナント・セブンス)からトニック(C:主和音)に進行するとより終止感が強まるのが、この半音の働きによるものです。G7の構成音のシとファがCの構成音ドとミに強く働くのです。

自然的短音階の最後の音を半音にして、響きに落ち着きをもたらす目的で次の和声的短音階(ハーモニックマイナー・スケール)が作られました。

和声短音階
和声的短音階(ハーモニックマイナースケール) 

導音が生まれ、終止感が強まりましたが、いかんせんその前に全音プラス半音分の開きが生じてしまいますので、その部分をさらに半音下げるという形で調整したのが次の旋律的短音階(メロディックマイナー・スケール)になります。

旋律的短音階
旋律的短音階(メロディックマイナースケール)

クラシックの世界では旋律的短音階の下行形は変化させた6、7番目の音が元の音に戻ります。文字で追うと煩雑な気がしますが、和声学を学んでいくと自然と身についていきますので安心してください。また全と半という大きめのピッチも独特な響きがありますので、同様のピッチを含む音階を実践基礎:スケール編で探してみると理解が深まると思います。

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多種多様な音階たち

さて、理論的なことは後回しにして、ここでは面白い音階を紹介してみましょう。以下の音階はドビュッシーが考案した音階です。短音階の一番最後の音間を半音にしたのが和声的短音階ですが、落ち着きをもたらす役割のある半音を取り除いてしまったのがこのドビュッシーの全音音階です。「笑いや希望が生じそうな鬱」といった感じで不思議な響きのする音階です。

ドビッシーの全音音階
ドビュッシーの全音音階

次は馴染みのある沖縄の音階です。少ない構成音ですが、こちらは半音部分が二か所あります。沖縄の気候のようにカラッとした中にも情緒がしっかりと存在している音階です。これとは逆に半音を取り除くとメジャーペンタトニック・スケールになります。

沖縄の民族音階
沖縄の民族音階

これだけ少ない構成音でも特徴的な表情を持ちますので、音階・スケールの学習はとても大切だと思います。本来ならイオニア、エオリアなどの教会旋法を紹介するのが一般的ですが、全音と半音つながりで二つの特徴的な音階を紹介してみました。この全音と半音の機能性は、理論的に一つの鍵ともなりますので各セクションを読み理解を深めていきましょう。

先ずスケール講座で実際の音を聴いてみて下さい。世界を旅するような感覚で様々な音階を楽しんでみて下さい。

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