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音名

:音名 幹音 派生音

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音名について

音楽の基本である、音名について見ていきましょう。下表は日本、ドイツ、アメリカ、イギリス、イタリア、フランス、中国、日本(雅楽)、インドにおける各音の呼び方です。子供の頃私たちは「ドーはドーナツのド」と歌いましたが、「イタリア語のDo」だったのです。

主要国における音名
日本
ドイツ Cツェー Dデー Eエー Fエフ Gゲー Aアー Hハー  
米・英 C D E F G A B  
イタリア Doドー Reレー Miミィ Faファー Solソール Laラァ Siスィ  
フランス Utユット Re Mi Fa Sol La Si  
中国   黄鐘 太簇 夾鐘 仲呂 林鐘 南呂 無射
雅楽   壱越 平調 勝絶 双調 黄鐘 盤渉 神仙
インド Sa
Shadja
Ri
Rishabha
Ga
Gandhara
Ma
Madhyama
Pa
Panchama
Dha
Dhaivata
Ni
Nishada
 

国別の音名クリックで拡大

音楽の授業や、一般向けに販売されている書籍ではドイツ語もよく使われます。「ツェー デー エー エフ ゲー アー ハー」という並びにくわえて、ドゥア(長調)、 モール(短調)といった言葉も覚えておきましょう。ドイツ語だとシの音がBではなくHになっているところも注目ですね。ドイツ語のBはB♭を表しているのです。これも学習上大切ですので認識しておきましょう。また伊・仏語の音名も楽譜に「Re minore」のように登場します。これはニ短調を表しますが、勝手にレが日本語だと思い込んでいると混乱しますので注意しましょう。

多くの人にとっては中国、雅楽(日本)、インドの音名は"言葉と音の関連性"が分からないことでしょうが、どれもが素晴らしい音楽ですから、幅広く学んでいくと目にする音名だと思います。例えば中国の音名は器楽の構造や成立した経緯から、欧米とは違いD音からスタートするのです。実践基礎:スケール編では、中国の音階インドの音階も取り上げていますので、興味のある方は聴いてみてください。

ヨーロッパでも現在のように1オクターブをCからBの音列で区切る方法とは違い、A音に始まりB音、C音と進みP音までカウントしていた時代もあったそうですが、11世紀にダレッツォという人物により、現在私たちが親しむ音名音階の基礎が作られたそうです。変革の真意は中世音楽の基盤となるヘクサコードなる知識が必要になるということですので、数学などに興味のある人以外はスルーしたほうが良さそうです。

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幹音と派生音 それらの音を変化させる記号

下のように臨時記号の無い音を幹音(ナチュラル・トーン かんおん)と呼び、幹音のみで構成される音階を自然音階(ナチュラル・スケール)と呼びます。を除く臨時記号の付いた音は派生音と呼び、派生音を含む音階は人為音階と呼ばれています。派生音を自然音に戻す役割のあるをナチュラルと呼ぶのは頷けますが、派生という言葉に捉われるのはよくありません。たとえば四和音よりもさらに音を重ねるテンションというコード理論においては、音階上の構成音を用いたテンションをナチュラル・テンション、音階上に無いテンションはオルタード・テンションと呼びます。ですから、対象の調性において、その音が"音階上の音であるかないか"という分析・判断をしたほうが音楽の理解には適切であると思います。

音階
自然音階に属するハ長調の音階

変化記号
  double sharp ♭♭
日本 えい 重嬰じゅうえい へん 重変じゅうへん 本位記号
米・英 Sharp Double Sharp Flat Double Flat Natural
ドイツ ○is ○isis ○es ○eses  

変化記号 クリックで拡大

は半音上げる、double sharpはさらに半音上げる、は半音下げる、♭♭はさらに半音下げるという意味を持ちます。これらは譜表の冒頭に付けば調号、譜表の途中で音符ごとに付けば臨時記号と呼ばれます。ドイツ語の読みは付属先の音ごとに変化します。嬰ハはCis(チス)、変トはGes(ゲス)などと変化します。中国や雅楽においては1オクターブに存在する12音それぞれに固有の音名が付けられていますが、混乱を避けるためここでは割愛します。

音楽の基礎(芥川也寸志)には「ロマン派以前の音楽にあっては、半音階上の音はあくまで全音階から生まれた派生音であり、その役割は装飾的なもの、もしくは経過的な意味しかあたえられなかったが、ロマン派に入るとしだいに独立した性格があたえられ、半音階がしばしば曲想の中心にすえられるようになり、逆に全音階基音の性格は、古典派時代の大黒柱からたんなる支柱ほどの意味しか持たなくなってしまう」といった記述があります。この文意を読み解くには時代や地域ごとの曲への理解も必要になりますが、名前のつけられた一音一音に生命を宿らせていくのが作曲の醍醐味とも言えるのでしょう。

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