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名曲紹介

:Josef Strauss

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第52曲目 フェニックス行進曲

第52曲目は、ヨーゼフ・シュトラウスのフェニックス行進曲です。2022年度のニューイヤーコンサートでも演奏されました。

Daniel Barenboim
生年月日 1942/11/15

ではこの素晴らしい曲をお聴きください。(ニューイヤーコンサートの音源ではありません)

この曲は2022年のニューイヤーコンサートでオープニング曲に選ばれました。(お正月に限ったことではないですが)TV番組がつまらないのは日本だけでしょうか。やはりこのニューイヤーコンサートというプログラムは、世界中のクラシックファンのみならず、わたしにとっても年末年始における一つの”あて”となります。

2022年のニューイヤーコンサートでウィーンフィルを指揮したダニエル・バレンボイム曰く「(シュトラウスのマーチやワルツなど)これらの音楽には自由が求められますが、やりすぎでも不足していても、魅力を損ないます。皆さんは(ウィーンフィルの)団員はスタイルを知っていて楽に構えていると思うかもしれませんが、実際はそんなことはありません。リハーサル中はとても集中しています。」とのことで、現代を代表する指揮者として音楽の本質部分を端的に伝えてくれています。

ともするとニューイヤーコンサートは、華やかな部分が先行しているかもしれませんが、ウィーンフィルのチェアマンであるダニエル・フロシャウアーも19世紀の音楽について「すべての作品に小宇宙がある」と評しているように、その音楽、本質部分には高い緊張感の持続と普遍的なメッセージが込められているような気がします。

今曲目紹介した「フェニックス行進曲」を作曲したヨーゼフ・シュトラウスは、ニューイヤーコンサートでもハイライトとなる「美しく青きドナウ」の作曲者でもあるヨハン・シュトラウス2世の弟です。父も高名な作曲家(ヨハン・シュトラウス1世)であり、いわば音楽一家で育った彼でしたが、当初は作曲家としての道は選ばず、技術・工学の道に進みました。2022年のニューイヤーコンサートでフェニックス行進曲と共に演奏されたヨハン・シュトラウス2世の「フェニックス・ウィングス」も、馬車を生産する会社にちなんで名付けられたそうで、人生において交錯する様々な出来事が曲名にもあらわれているのかもしれません。

フェニックス行進曲は1861年にウィーンでの新しい公園の開園を記念して初演が行われました。この頃ヨーゼフはワーグナーからの依頼で「トリスタンとイゾルデ」の一部をウィーンで演奏するなど、古典派からロマン派まで幅広くカバーするその才能を、兄ヨハンからも「私以上だ」と高く評価されていました。

馬車と言えばヘンリー・フォードが浮かびますが、いまや電気自動車の時代になっても、演奏されるのは2世紀も前の音楽(バレンボイムも80歳)です。コロナ禍に思うことは「文化、芸術、環境、コミュニケーションと、われわれ一人一人がもっと真剣に向き合い、新たな(出来れば良き)何かを、創出していかなければならないのでは」ということです。

クラシックの回になるとちょいと飛躍してしまうのが私のクセかもしれませんが(笑)、我々も不死鳥のように前を向いて希望に生き続けたいですね。

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