リズムという言葉が日常生活においても使われる一方で、拍子という言葉は一部の慣用的表現をのぞいては音楽の中でしか使われず、規則的なイメージがあります。リズムはリズム。拍子は拍子。とりわけ難しく考えなくても作曲は可能ですが、音楽学習のはじめに少し学んでみましょう。
拍子と聞くと「タンタン、タンタン」と簡単なリズムが浮かんできますが、それが「強-弱・やや強-弱」というパターンの4拍子です。3拍子は「タンタンタン、あるいはズンチャッチャー」(強弱弱)というリズムです。山縣茂太郎先生の「音楽通論」には強拍のあとにいくつかの弱拍が続くことによって拍子に種類が生ずると記述されています。
この「拍子」や「間(休符)」、「つなぎ」などから形成されるリズムは音楽における3大要素の一つであり、和音と旋律を支える重要な役割を担っています。周到に計算された優れたリズムは和音や旋律を包みこみ、振動や熱気を生じながら音楽全体を昇華させていくのです。たとえばターラと呼ばれるインドの複雑なリズム理論には120ものパターンがあり、さらにそれを様々な法則に適用させていくそうです。弦楽器であるシタールと、リズムを刻むタブラのコンビネーションだけの音世界ですからリズム頼りになるのは当然ですが、リズムが音楽の根幹の一つであることを象徴しているとも言えるでしょう。
どのようなジャンルでも休符などの関係で、強拍の部分が弱く、弱拍で強い音になる曲、箇所も当然発生しますし、一般的な楽典に掲載されている「強弱強弱」という並びではない楽曲・演奏も多いようです。あいまいな定義であるとも言えますが、演奏家の拍に対する意識は非常に高いものがありますので、くれぐれも軽んじないようにしましょう。
それではここで、3拍子系と4拍子系の曲をメドレー形式で聴いてみましょう。
そんなに違和感なく繋がっていましたね。偏らずに幅広く拍設定をして表現力を磨いていきましょう。
リズム・拍子を形成する要素である、音符と休符を見ていきましょう。全音符と全休符を基準として長さが分割されます。たとえば、八分音符が4つ集まると二分音符に、十六分音符が4つ集まると四分音符になります。記号にすると簡単なのですが、名士によって構築・演奏されるリズムは奥深いものがあります。要は組み合わせの世界とも言えるでしょう。
長さ | 全 | 二分 | 四分 | 八分 | 十六分 |
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音符 | |||||
休符 | |||||
付点 | =+ | ||||
複付点 | =++ | ||||
連符 | = = = |
音符に付点がある場合は、さらに半分の音符分の長さが加わります。付点が二つの場合は加えた音の半分の長さをさらに加えることになります。リズムに独特のタメが生じる連符は、基準になる音を表示された数で等しく分割します。
様々な学習本の「拍子・リズム」の章には、「春の祭典」で有名なストラビンスキーがよく登場しますが、複雑な拍子は聴き手を困惑させるために用いるわけではありません。3連符で軽快なリズムを生み出したり、6連符でサビの目前にアクセントをつけたりと、しっかりとした目的で効果的に使用するのが良いでしょう。