今回はスケール講座で紹介したオリエンタルスケール(アラビア音階)を絡めながら、作曲法になりうる一面をみてみましょう。スケール講座では民族的な雰囲気を出すためヨーロピアンテイスト全開の曲を紹介しましたから、先ずは少しシンプルに展開してみます。
オリエンタル音階 C D Eb F# G Ab B
上記のようにアラブの音階はかなり特徴的な構成音をもつスケールですが、とりあえず作曲してみましたのでお聴きください。
スケールを料理するする方法としては、下記表のようにスケール構成音から3和音を導き出すのも一つです。オリエンタルスケールのように特殊な構成音ですと必ず難解な構成音になるものが出てきます。たとえばF#、Ab、Cの堆積和音はどのように扱うか迷ってしまいますね。とりあえずF#9(b5)ということにしておきましたが、思い切って捨てて考えてみたり、転回形と捉えるなど方法論は様々です。
3和音 | Cm | D(b5) | Ebaug | F#9(b5) | G | Ab | Bm |
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ディグリー名 | Im | II(b5) | bIIIaug | #IV9(b5) | V | bVI | VIIm |
4和音 | CmM7 | D7(b5) | EbM7(#5) | F#9(b5 13) | GM7 | AbM7 | Bm6 |
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ディグリー名 | ImM7 | II7(b5) | bIIIM7(#5) | #IV9(b5 13) | VM7 | bVIM7 | VIIm6 |
これはもう、ありとあらゆるページで語っていますが、コードとモードは表裏一体ということです。歴史がそうでしたね。バッハがなぜ音楽の父と言われているかを考えてみて下さい。シンプルな構造の多かった音楽の世界にあって、複声部による対位技法を発展させ近代和声の扉を開いたからです。
ですから作曲においてはコード進行という世界にこだわり過ぎずに、モード的に考えてみたり、進行形を工夫したりすれば自ずと曲は出来あがります。サンプル曲もそれを意識して作ってあります。前半後半で進行は同じですが、後半の頭からコードらしく明瞭な和声を響かせています。ナインスやテンション音も良いですが、音楽の歴史も勉強・意識して作曲していけば、響きもまた変わってくるのではないでしょうか。
音階音という点で見ればスケール講座のサンプル曲と異なるのは、全開モードか挿入モードかの違いです。このページのサンプル曲は近代的な、いわば普通の和声の中に適度にアラブの音階を組み入れていますので挿入モードになります。最近大ヒットしたcall of dutyシリーズなどもシンプルに民族的な音を組み込んでいますが、映画の世界でも活躍した作曲家の手によるものだそうで、日本のゲームサウンドとは一線を画するものがあります。まぁ微妙な差なんですけど、バッハなんて古いと馬鹿にせず、旋律構成の基礎となるモノフォニー、ポリフォニー、ホモフォニーを意識した作曲法も身につけていきましょう。