音階と調、これは2つで1つのシンプルなものですが、音楽のビギナーさんは今一つピンとこないかもしれませんね。まずは理論はすみに置いて、クラシックの世界ではどのような調性がよく使われてきたのかを見ていきましょう。
下のテーブルデータは古典派全盛の18世紀に発表された交響曲(総計で16,558曲)で用いられていた調性の内訳です。
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ハ長調 | 2,208 | |||
---|---|---|---|---|---|
イ短調 | 69 | ||||
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ト長調 | 1,983 | ![]() |
ヘ長調 | 1,749 |
ホ短調 | 75 | ニ短調 | 319 | ||
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ニ長調 | 5,103 | ![]() |
変ロ長調 | 1,590 |
ロ短調 | 28 | ト短調 | 206 | ||
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イ長調 | 1,026 | ![]() |
変ホ長調 | 1,543 |
嬰ヘ短調 | 3 | ハ短調 | 274 | ||
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ホ長調 | 286 | ![]() |
変イ長調 | 12 |
嬰ハ短調 | 2 | ヘ短調 | 71 | ||
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ロ長調 | 5 | ![]() |
変ニ長調 | 1 |
嬰ト短調 | - | 変ロ短調 | 3 | ||
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嬰ヘ長調 | 0 | ![]() |
変ト長調 | - |
嬰ニ短調 | - | 変ホ短調 | 2 | ||
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嬰ハ長調 | - | ![]() |
変ハ長調 | - |
嬰イ短調 | - | 変イ短調 | 0 |
栄えある一位はニ長調で、全体のおよそ30パーセントを占めています。全体的に見ますと完全な比例形ではありませんが、調号の数が増えるとそれだけ曲の数も減っていきます。現代の楽器構造ならともかく、昔はドミソの3つしか音が出ない楽器もありましたので、キーの選択には作曲家の感性だけではなく、楽器の特性も考慮しなければならないのです。(詳しくは楽器のセクションにて)
ガイドブックによると18世紀に作られた交響曲は実に2万曲近くということになりますが、あまり知られていない名曲も数多くあることでしょう。枯渇した現代の音楽シーンに、少しでも発掘して陽の目を見せていただきたい思いがします。世間がまっすぐな評価で構築されるためにも、命の響きともいうべき古典派の音楽を回顧・復興していきたいものです。