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音階と調

:ソナタ

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ソナタへ至る様々な形式

曲想の具体化のために鍵盤を叩き簡潔な音を出します。その短い音の塊を楽典的には動機と呼んでいます。そして同じような長さの動機が結合すると楽節(フレーズ)と呼ばれる単位になります。確かに動機のみでは電話の呼び出し音のようで、繰り返し使うにしろ単体では扱い難いものがありますので、楽節(フレーズ)となってはじめて音が躍動を始める気がします。

その楽節が結びつくと大楽節と呼ばれる単位になり、ストーリーが生まれます。それは一部形式という格になり、それはさらに二部、三部形式へと発展し、交響曲のような巨人の骨格を形成するようにもなります。

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ソナタ形式と転調

ソナタ形式は複合三部形式の発展形(二部形式や三部形式がさらに発展したもの)と言われています。起源は17世紀のイタリアで、声楽作品の導入部や間奏を務める小規模な形式として興ったと言われています。その後の変遷を経て定まった古典期のソナタ形式は、転調や変奏を用いることが肝要になります。下の図で学習してみましょう。

ソナタ形式
ソナタ形式

形式的には、まず提示部で主題を提示します。提示部には第一主題、移行部をはさんだ第二主題、結尾がありますが、第二主題は原則としてB・B'・B''と3つの楽句(フレーズ)で構成されます。提示部の結尾は属調で終始し、小結尾(コデッタ)とも言われていますが、時に主題ABと並びCという格が与えられるほど重要に扱われることもあります。

続く展開部は第二主題の調か第一主題の近親調で開始し、主題であるAB(Cを含める場合もあります)をリズム、和声、旋律的に展開させながら曲を進行させ、新移行部を介し再現部に遷移します。

再現部の構造は提示部に倣いますが、ここでもリズムの変化などを用いアクセントを加えます。また、再現部では提示部とは違い、主題ABが同調内で再現されます。ラストはあまり遷移を激しくさせずに多少の余韻を・・・ということでしょうか。最後の結尾(コーダ)は主調で締めくくります。

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形は本質のほんの一部にすぎない

二部形式までは二つの楽節ともに完全終止で終わらせることが出来ましたが、三部形式からは不完全終止による切り替えしを行う必要があり、それが複合三部形式の発展形であるソナタ形式にまでなると、複数回の転調による展開が必須になります。こういった構造体の中で、密度を濃く、さらになめらかに音を繋げていくのは容易ではありません。

本当の問題になるのは、第一主題や第二主題の中で、どのように和音を分解、配置していくかにあります。日本人はこの作業で世界に圧倒的な差をつけられてきました。なんというか、日本人が作る曲は、ミケランジェロの彫刻を見た後に簡略化された漫画を見るような感じで、実に平面的です。ですから形式が理に適っていてもそれだけでは良い曲にはならないのです。ソナタ形式が用いられた交響曲は芸術の最高峰でもあります。その深みを知るためには相当の訓練が必要になるでしょう。

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