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作曲講座

:幅広い現代音楽

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現代音楽の多様性

前ページでは、本質をテーマに現代音楽・絵画について語りましたが、少々むつかしく、人によっては反発を覚えた方もいるかもしれません。世渡り的なことをヌキにしても、人になんの迷惑もかけないその人独自の美学を、批評の対象にすること自体が無益に等しいことかもしれませんし、自分好みの表現作品に出会うとうれしくなったりしますよね。それが人生の醍醐味であったりします。

さて、前回も芸術全般の枠組みの中で現代音楽を捉えてきたので、今回も同じアプローチで行きましょう。

これはバウハウス劇場の指導者となったオスカー・シュレンマーの「三和音の踊り(パウル・ヒンデミット作曲)」という作品で、3人の役者による12の踊りと18のコスチュームから構成されています。この昨品の持つ美しさの解釈は個人に委ねられますが、この作品はとてもコミカルで視聴しやすいです。

イタリアの未来派では、もっと奇抜な、そしてもっと大編成で、金切り声や、ヒューヒューいう声、サラサラいう声を騒音として演奏会に組み込んだそうです。騒音係はさまざまな音の担当がいて総数で29名!。ボッチョーニなどの表現家のおかげで名声が保たれてきた未来派というムーブメントですが、お遊び的なところもあったのでしょう。

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クラシックの巨匠だけでなく

クラシックの世界でも、飛び道具は使用されてきました。ベートーベンのウェリントンの勝利、ヴィトリアの戦いにおけるマスケット銃の放射音やチャイコフスキーの序曲「1812年」における大砲、マーラーのハンマーなどは有名です。またサティは、ピストル、宝くじ用の回転抽選機、タイプライターなどの小道具を用いました。

フェルナン・レジェのフィルム「バレー・メカニック」において音楽を担当したジョージ・アンタイルは自動車の喇叭(ラッパ)、金床、丸鋸、飛行機のプロペラ、クラクションなどを利用しました。

絵画界では巨匠の域に達していたレジェさんですが、本作品では光を意識したキュビズム的作品というよりも、連続性のある運動学的な「未来派の作風」に近い表現をしています。ちなみに坂本龍一さんがコンセプト部分だけ影響を受けて同名の曲を発表されていて、とてもポップな仕上がりで人気を博しています。

職場の後輩にベートーベンの「運命」やスメタナの「売られた花嫁」を紹介したら、「何で売られちゃったんすか」などと言いながら、流行の芸術家集団を紹介してくれました。そのとんちんかんな芸術家集団は、現代アートの巨匠「マルセル・デュシャンのための音楽」などで知られるジョン・ケージのように、無音でなにもやらずに立ち去っていくこともあるそうで、わたしもトンチをきかせて「エスキモーの歌ってのは音が二つしかない。音が少ないほど頭脳を使わない民族なんだってよ」と返したら、笑いながら恥ずかしそうにしてましたね。

アラン・ルヴィエもその著作「オーケストラ」のなかで「われわれはきわめて技術的な事柄を扱っているので、そこから逸脱しないためにも、これ以上"美学"の領域に侵入することはやめよう」・・・と結んでいるところがとても可笑しかったです。審美力は養わなくてはいけません。しかしコミュニケーションや笑いという幸福はまた別のところにあるのでしょう。

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