Daxter Music

実践基礎:スケール編

:トーディー・タート

contact

フリジアンとトーディー・タート

実践基礎:スケール編の第6回目は再びインドの音階です。

前回はスパニッシュ・スケールとフリジアンおよびフリジアン・ドミナント・スケールの関係を学習しましたが、今回も再びフリジアン・スケールに似たトーディー・タートというインドのスケールを紹介します。第3回でも出てきたタートという言葉は音階という意味で、Cメジャー・スケールと同じ機能のある音階はビラーワル・タートと呼ばれています。主なタートは10種類ということですので、これで1/5を学習することになります。

トーディー・タートとフリジアン・スケールの関係
  C   D   E F   G   A   B
トーディー・タート          
フリジアン・スケール          

トーディー・タートとフリジアン・スケールの関係 クリックで拡大

トーディー・タートの構成音(C Db Eb F# G Ab B)を、今回もフリジアン・スケールと1音違いの状態にするためにセブンスのBをフラットにしました。これによりスケール名がトーディーb7th・タートに変わりますが、前回紹介したスケールを並べると、1音ずつの違いしかありません。これが今回トーディー・タートを紹介した理由です。このように関連したスケールを覚えながら、クリシェ(基本コードは変えずに構成音のいずれかを変化させていく)などの進行を用いて楽曲にゆるやかなアクセントを加えてみるのも悪くないでしょう。

トーディー・タートと類似のスケール
  C   D   E F   G   A   B
トーディーb7th・タート          
フリジアン・スケール          
スパニッシュ・スケール        
ハーモニック・マイナー
パーフェクト5thビロウ
(フリジアン・ドミナント)
         

トーディー・タートと類似のスケール クリックで拡大

それでは自作の「Scale is fatal」という曲の基礎実践用編曲バージョンをお聴き下さい。

ページの始めに戻る

駆けあいの素晴らしさ

やはりインドの音階はオーケストレーションというよりは、"少数楽器による駆けあい"向き・・・かなとも思います。今回の編成もピアノとブラスだけですが、単純に声部にふり分けても盛り上がりに欠けます。

メーナード・ファーガソンの「Theme from Star Trek」などでは終盤に入るとブラスが絶叫しますが、楽器ごとの特長を知って、サッカーの試合のようにフォーメーションを作曲者(監督)が考えてやらなければなりません。

ピアノパート
ピアノパートと声部

ピアノだけ聴くとまだまだ曲としては弱いですね。ブラスだけでも同様です。しかしお互いに声部を移動しながら変奏していくと、このような簡単な楽曲でも、全体が引き締まり表情が出てきます。そもそもフリジアン・ドミナント・スケールはハーモニックマイナーと構成音が同じ(素のフリジアンはエオリアン・スケール(自然短音階)の2度の音をフラットさせた構成音)ですので美しい音階ですし、それでいて、スペインやインドの音階にも近いので不思議な魅力が出ています。

また、この曲ではピアノで3和音を軽快に叩くところがありますが、"鳴ってりゃ良い"程度のものでも、十分に緊張感を与えてくれますので、ジャズなどの難しい理論に迷ったらシンプルに構成していくのも良いでしょう。四和音(セブンス)やテンションどころか、古典的な三和音よりも少ない二和音でもバッキングとして十分な場合もあるのですから。

関連というと理論的には語弊がありますが、フリジアンに似た構成の音階だけでもこのように多数出てきますので、今回勝手に作ったトーディーb7th・タートも、世界のどこかには同じ構成の音階があるかもしれません。皆さんも既存のスケールにとらわれずに、どんどん好きなように音を並べてみてください。何度も繰り返していますが、モードやスケールから調性が生まれたというのが音楽史における流れでもありますので、そこにスケール作曲法の醍醐味があるのかもしれません。

このページの関連アイテム

人気コンテンツ daxter-music.jp

人気コンテンツ daxter-music.jp