このページでは変化和音を学んでみましょう。まずはナポリの6の和音です。ナポリ和音はサブドミナントの第5音が短六度上の音に変化したところからこの名前の由来があります。
ナポリ和音
言いかえれば短調においてIIの和音の根音が増一度下に移動した(フラットした)メジャーコードになります。転調の際は度々このナポリの6度が用いられます。
旋律的短音階(メロディックマイナースケール)の第六音はドリアの6度と呼ばれます。こちらは音階のページやスケール講座でも学習しましたのでナポリの6度に比べるとなじみがあると思います。
ドリアの6度
セブンスコード(四和音・七の和音)でよく使われ、導音に向かって上行することを基本としますが、ドミナントのナインスコード(属九の和音)の根音省略形に進行する時は増一度下行(フラット)することが出来ます。
こういった変化和音は転調などにもよく使われますが、四声部を理解してこそ有効的に扱えますので、本サイトに掲載されてレベルの和声学はしっかり身につけていきましょう。
短調におけるIIIやVでは導音を含まない和音が使われることがあります。
エオリアの7度
ドミナントにエオリアの7度を含める場合は、経過音として扱い次に2度下行します。原則的に前後を順次進行させます。
ここでブラームスの交響曲を用いたサンプルをお聴きください。前半がエオリアの7度あり、後半が固有和音のみのパターンです。
前半のほうがグワァッと引き締まるような感じですね。ブラームスの何とも言えないスケールや魅力を紐解く鍵のひとつと言えるかもしれません。ブラームスの音楽は聴く度に身の震えるような感動を覚えるのですが、それと同時にあまりに巨大すぎて立ちすくんでしまうこともあるのですが、これは仕方ないですね。ひとつひとつ身につけていくしかありません。
メジャーキーの音階上の第6音が増1度下方に移動(フラット)させることでも、特徴的な和声になります。一つの音が音階音でなくなる分けですから、その音を含む和音は、固有和音ではなく準固有和音と呼ばれるようになります。
準固有音
Cメジャーキーにおける準固有和音は以下のようになります。
Cメジャーキーの準固有和音
ではこのうちのIVに準固有音を含んだ曲を聴いてみましょう。このCメジャーキーにおけるFmは借用和音(サブドミナントマイナー)としても有名です。
メロディ部分を楽譜にしてみました。臨時記号がついているG音(つまりはAb音)がサブドミナントマイナーをあらわす特徴的な音になります。
サブドミナントマイナーの導入
サブドミナントのやわらかさと哀愁がほどよくマッチします。
名曲で学ぶ和声法 /柳田孝義