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和声学

:和声の今

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現代音楽から失われつつある美の根幹

20世紀の大作曲家オリヴィエ・メシアンは「音楽は和声という点からみると底をついている。この底をつき破るのは20世紀の音楽家ではない。和声の再生には200年300年待たねばならぬだろう。」(和声の歴史/オリヴィエ・アラン)と語っています。古典派の和音がどこかに封印されてしまったような表現ですが、ベートーベンやモーツアルトの生み出した素晴らしき和音は地中深く眠っているわけではありません。作曲家たちの情熱や表現力の問題として、心に響く音が少なくなってしまったということでしょう。

古典派からロマン派への流れの中で頂点を極めた音楽がどのような形で、この先200年の間で復興、もしくは同等のレベルとして再興するのでしょうか。そもそも和声とは和音の連なりであり組み合わせでもありますが、モーツァルトやベートーベン、ブラームスの音の気高さというのは、構成により生み出される密度にこそあると思います。3つのコード(和音)と数回の展開だけでも普遍の名曲を作ることが可能なのですから、各々が真摯に構成を磨いていけば、素晴らしき和音世界の復権は200年後という遠い未来の話ではなくなります。

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四つの三和音

先ずは、作曲の基本となる三和音を学んでいきましょう。三和音すなわちトライアドは芸術やデザインの世界でも有名で、3つの要素が重なり合い調和を生み出します。
さて、下の譜面上に並んでいるのはそれぞれ長三和音、増三和音、短三和音、減三和音の4種類の三和音です。(ここでも、音名音程音階と調のページで説明したように半音の位置が判定基準になりますので、基本的な知識がない方は各ページを参照してください。)

長三和音 短三和音 増三和音 減三和音
左から順に長三和音、増三和音、短三和音、減三和音

それぞれの和音は共通して、根音から3度の音程で2回重ねられています。根音と3音の関係が長三度、3音と5音の関係が短三度の和音を長三和音と呼びます。根音と3音、3音と5音の関係がいずれも長三度の和音を増三和音と呼びます。根音と3音の関係が短三度、3音と5音の関係が長三度の和音を短三和音と呼びます。根音と3音、3音と5音の関係がいずれも短三度の和音を減三和音と呼びます。ちなみに長・短三和音が協和音、増・減三和音が不協和音になります。この4つの三和音を基本に楽曲を展開・形成していくのですが、とりあえず今回はここで終了しましょう。

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