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オスティナート

:繰り返しの技法

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オスティナート

オスティナートという言葉をご存知でしょうか。本来は以下の曲で用いられているような、バス部分で延々と繰り返される固執低音(バッソ・オスティナート)のことを示す場合が多いですが、ラヴェル作「ボレロ」の様な旋律・和声進行の繰り返しを思い浮かべる方も多いでしょう。

このサイトでもたびたび引用している「音楽の基礎」の著者である芥川也寸志さんも、このオスティナートという技法をよく用いていました。審査会などで芥川さんのアシスタントを務めた池辺晋一郎さんによれば、芥川先生はよく「わかりにくい音楽が嫌いなんだー」ということを仰っていたそうですが、なるほどドリフターズのコントの様に、シンプルでいて先のことが容易に予測できるというのにノせられてしまうのが、オスティナート技法の魅力でしょう。

それでは、自作の「鴻家弔い合戦」という曲の基礎実践用編曲バージョンをお聴き下さい。

このようにオスティナートとは、ひたすら繰り返します。分かりやすい変奏も一つの鍵になるでしょう。このサンプル曲の場合は「bIIM」の一瞬の"たるみ・たわみ"が緊張感の持続に繋がっているのが作曲の妙でしょうか。

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シンプルなカデンツで用いる

作曲というのは、1-5-1、1-4-1というトニック、サブドミナント、ドミナントによる単純な構成に頼る部分が大きいのですが、それらの進行に太い和声感と旋律性をさりげなく加えていくことが、オスティナート技法の場合も大切になってくるでしょう。ですからオスティナートを取り入れた楽曲を作るということは作曲能力向上の助けになります。

ペラペラな曲しか書けない人でも、どこをどうしたら自分の作品に核が生まれるのか、そういったことを考える訓練によって作品にも自ずと重厚感が増してくると思います。「わかりにくい音楽が嫌いなんだー」の裏には明晰さを持てという意味合いがありましょう。明晰さとは確固たる構成という意味ですので厳しい世界でもあるわけです。小説だって評論だってそうです。聴かせる"カデンツ"があるかないか。芥川さん父子も「シンプルを勘違いするな」と怒っているかもしれません。

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