冠詞とは名詞の前につくaやtheのことです。
Die Meistersinger von Nürnberg
ニュルンブルグのマイスタージンガー
これはドイツ語の冠詞です。クラシック好きな私にとって冠詞といったらDieなどのドイツ語の冠詞を思い浮かべます。意味はともかく何だかカッコ良いですね。ですから英語を知らない子供の頃から「ザ・ニンジャ」ですとかtheをつけてその語呂を楽しんでいた人も多いはずです。
カッコ良いからつけるのか。無くても通じるのか。実は冠詞は名詞に普遍的な意味合いを持たせたり、会話の流れの中でも重要な役割を果たすのです。
まずは実際に冠詞が使われる場面を見ていきましょう。
Look at the viola covered with dust.
あの埃をかぶったヴィオラを見てごらん。
このヴィオラの前にあるtheという冠詞にはどのような働きがあるのでしょうか。
部屋の片隅にぽつんと置かれたヴィオラは特定できます。テレビであれ扇風機であれ「つけ(消し)てくれる?」と言われて特定できうるものにはtheをつけます。
それではaが使われるのはどのような場面でしょうか。
Mariko doesn't know how to choose a violin.
マリコはバイオリンの選び方を知りません。
先ほどのtheをつけた状況とは違い、バイオリンを選ぶという段階ではそれこそ数多くのバイオリンがあります。
例えばお店に行っても店内にはたくさんのバイオリンが売られており、どれにするかはまだ分からない状況ですね。そんな時にはaをつけます。その後の状況から未知が既知に変化するように、不定冠詞のaから定冠詞のtheに変わるのが自然な流れになります。
冠詞については注意が必要なケースがあります。次の例文を読んでください。
I bought fender.
私はフェンダーを買った。
フェンダー社のギターを買ったと言いたいのでしょうが、上記ではフェンダーの会社をまるまる買収したことになってしまいます。
I bought a fender.
私はフェンダーの製品を買った。
このように冠詞のaをつけることによって、fenderの後ろのguitarやbassという隠されていた事実が具体化され、ようやく製品という意味を持つようになります。このように、無印あるいは、aやtheという文字の段階では些細なことに感じますが、実際の意味は大きく変化してしまいますので文法学習の大切さを痛感させられます。
とりあえず冠詞に関しては英米で微妙な違いがあったりと、深追いすると混乱しますので、さわりとしてはこのくらいにしておきましょう。