さておなじみのwillからですが、おなじみだけに注意深くみていきましょう。意志を英語にするとwillともいえるのですが、意味的にはそこがポイントになります。もちろん結果的に未来・予定のことを表しますが、自分の強い意志としてこれから行うことに決めたというニュアンスをもちます。
I will discard prejudice against pop music.
私はポップスに対する偏見は捨てる。
上の例文ですと、捨てるだけでなく、今までの自分の過ちや捨てる原因となった素晴らしいなにかの存在まで"ほのめかす"ことにもなります。例えばポップス歌手の素晴らしい人格にふれたですとか、とてもよい曲を知ったですとか、発言の前の段階に長い説明やストーリーが必要になります。そして最終的にそう考える(will)に至ったという流れです。もはや予定ではなく"確たる未来"というニュアンスになります。
I will buy that.
私はそれを買う。
ですから上記のような短い文を考えても、単純に訳すならば「それを買う」ということになりますが、その決心に至ったプロセスには、第三者からの推薦や自身の心境の変化など様々な要素が存在することになりますので、お店に入るなり店員さんにむかって使う表現ではありません。
ですから極端に言えば
will = be going to
という図式は正しくありません。going to というのは、willとは違い、前もって決まっていた予定を表します。ですからお店に入って「欲しいのですが、探している」という気持ちを伝えたい場合は、
I'm going to buy ...
私は○○を買おうと思っているのですが。
という未来表現がより適切ではないかと思います。まぁこれも二者択一での話ですのでもっと他の表現が良いのでしょうけれど、willではジョークになってしまいますし、going to なら計画していたというニュアンスを汲んでもらえるでしょう。
未来・予定を表すのはwillだけではありません。
公共の場、たとえば電車に乗っているとIt starts○○といった現在形を使って未来・予定を表していることに気づきますし、ビジネス英語ではI'm having○○といった現在進行形で予定を表すことも多いです。
The rehearsal starts at 3 P.M.
リハーサルは午後の3時から始まります。
I'm having a voice lesson on sunday.
私は日曜日に声楽のレッスンを受けることになっています。
ですからwillを使う機会はそれほど多くないかもしれません。
過去形になると丁寧さ・遠慮をあらわすという点ではwillとwouldの関係も同様です。willは強い意志の表現ですから依頼の際、
Will you tune in?
(私の音に)合わせてくれる?
ですとかなり強制的なニュアンスになりますが、
Would you tune in?
(私の音に)合わせていただけますか?
Would youにすると少しやわらかくなるのです。willは(仕事なんだから)やって当然ともとれますし、wouldであればもし出来ないなら拒否しても構わないないとも受けとれます。
さらにお願いしますというニュアンスを出したいならwould you mind ~ingを使いましょう。
Would you mind checking it for me?
チェックしてもらえますか?
willは意志表現。相手が「はい!」と返事をしてくれることに確信がある、それを分かっているという意思表明でもあります。(can、couldの頁でニュアンスの違いを簡単に解説しています)